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労災保険とは、「業務上」または「通勤上」のケガや病気、障害、死亡等に対して保険給付を行う労働保険です。「業務上」「通勤上」という認定基準も労災保険法において定められ、労災に当たるかどうか=労災給付を行うかどうか、についての最終的な判断は、労働基準監督署が行います。
仕事中以外のケガや病気などについては、加入している健康保険制度から保険給付を受けることになります。ご存知「自己負担3割」というのが、健康保険における療養の給付です。では、仕事中にケガをしたり仕事が原因で病気になった場合、自己負担は生じるのでしょうか?答えはノーで、治療費の全額分が療養保障給付として支給され、被災者が治療費を負担することはありません(「通勤上」の災害の場合、原則200円のみ負担があります)。更に、労災保険は労働保険・社会保険の中で唯一、労働者が保険料を支払う必要のない保険です。また、労働基準法が適用される労働者であれば、パートやアルバイトでも保険給付が行われます。
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A1 労災保険給付は以下の通り行われます。
療養について・・治療費全額をその治療が続く限り支給
休業について・・給料日額のおよそ80%を休業している期間中支給(最初の3日間除く)
障害について・・障害等級に該当する金額を支給
介護について・・重度の障害により介護が必要になったら決められた金額を支給
死亡について・・遺族に対し決められた金額を支給
休業については原則1日単位での支給、障害・死亡については年金または一括での支給、介護については月単位での支給、療養については治療費を支払う必要がないといういわゆる現物給付になります。
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A1 いわゆる仕事中だけではなく、“微妙な時間”についても「業務上」と判断される場合があります。
労働時間中の災害=業務上の災害、というのは当たり前ですが、例えば、休憩時間中や業務開始前の準備時間中、また出張中においての災害などは、「業務上」かどうか微妙なところもあるため注意が必要です。
例①
休憩時間中の災害 ⇒
「休憩時間は自由に利用させなければならない」という労働基準法の規定がある通り、休憩時間中は業務上ではない、とされるのが通常です。ただし、その災害が会社施設の欠陥等による場合は業務上と認定されることもあります。例えば、社食で昼食を食べている最中に照明器具が落下してケガをした、などの場合は労災保険の支給対象となりえます。
例②
業務開始前の準備時間中(着替え等)における災害 ⇒
原則として、業務上と扱われます。
例③
出張中の災害 ⇒
出張時における業務行為(相手先との面談など)の最中は、当然業務上です。また、例えば食事中であったり、ホテルでの宿泊中も、原則として業務上扱いになります。ただし、完全な私的行為(業務とは無関係な飲酒等)を行っている時間については、業務上とは扱われません。
例④
宴会中の災害 ⇒
例えば、忘年会の幹事が職務の一環として会場を取り仕切ってる場合などは、その幹事についてのみ、業務上と扱われることもあります。
例⑤
仕事仲間の暴力による災害 ⇒
業務内容に深い関係があるかどうかで判断されます。例えば、仕事の進め方で口論となり、その延長で殴打されケガをした場合は業務上と扱われますが、業務と関係のない私怨による暴力の場合は業務上とはなりません。
例⑥
仕事中の天災地変による災害 ⇒
台風や落雷等、天災地変による災害は原則として労災給付は行われません。ただし、高所での作業中の突風等、作業の性質上、災害を受けやすい場合は、業務上災害として給付が行われることもあります。
例⑦
過重労働が原因の病気 ⇒
病気発症前の時間外労働時間や業務内容等により客観的に判断し、業務に起因する病気かどうか判断します。
例⑧
職業性疾病 ⇒
職業性疾病とは、有害物を吸収するような業務に長年従事し、その結果として徐々に発症してくる病気のことをいいます。業務に起因する病気かどうかは、その病名ごとに詳細な認定基準が設けられていて、慎重に判断されていきます。
業務上か業務上でないか=労災保険給付を行うか行わないか、の判断はあくまでも労働基準監督署が行います。労災保険の支給申請をする場合、申請書に災害発生時の状況を具体的に記入することが大切です。
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A3 通勤とは、「いつもの道をいつもの方法で、会社へ直行・自宅へ直帰」が基本です。
労災保険は、「業務上の傷病等」および「通勤上の傷病等」に対して必要な保険給付を行うことを目的としています。「通勤」とは、就業に関しての住居と会社との間の一般的な方法や経路での往復のことをいいます。つまり、1日の仕事を終えての帰宅途中は当然「通勤」ですが、帰宅途中に居酒屋に飲みに行くなどした場合は、それ以降「通勤」ではなくなり、労災保険の支給対象とはなりません。
例①
仕事帰りに会社前の美容院で髪を切り、その後駅に向かう途中で転倒し負傷した ⇒
通勤上として扱われ、保険給付が行われます。例えば、仕事帰りに居酒屋に飲みに行ったり映画を見に行ったりした場合、その行為以降は通勤上として扱われませんが、美容院で髪を切るとか、スーパーに寄って食材を買うとか、病院で診察を受けるといった日常的な行為の場合、その後いつもの帰途につけば、以降は「通勤に戻った」として扱われます。ただし、この例でいうと、髪を切っている最中については通勤上とはなりません。
例②
残業で深夜を過ぎカプセルホテルに宿泊した翌日の出勤時に転倒し負傷した ⇒
通勤上として扱われます。自宅以外の場所でも住居とみなされる一例です。
例③
業務と関係のないところで友人宅に宿泊し、翌日の出勤時に転倒し負傷した ⇒
原則、通勤上とはなりません。
通勤上か通勤上でないか=労災保険給付を行うか行わないか、の判断はあくまでも労働基準監督署が行います。労災保険の支給申請をする場合、申請書に災害発生時の状況を具体的に記入することが大切です。
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A4 通常、労災保険と損害賠償の間で調整が行われます。
通勤途中での交通事故は、通勤上での災害ですので、当然、労災保険の支給対象となります。ただ、災害の原因が第三者によるものの場合は、損害賠償と労災保険給付のとの間で調整が行われます。交通事故の場合、通常は加害者加入の自賠責保険等から先に給付が行われ、その給付が完全に終了するまで労災保険からの支給は行われません(「労災特別支給金」という名目の支給は行われますので、労働基準監督署への届出は必要です)。被害者が重傷を負った場合などは、労災保険から支給される給付は年金になることが多いのですが、この場合は事故発生から3年が経過したら、自賠責保険からの給付額にかかわらず、労災保険からの支給が開始されます。
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A5 労災保険の各種給付の支給額は「給付基礎日額」を基準に支給されます。
「給付基礎日額」=災害発生日以前3ヶ月間の給料の総額÷その3ヶ月間の暦日数
通常は、災害発生日前の直近3回の給料締切日における給料の総額を、その間の暦日数で割ったものとなります。ただし、給料には賞与など臨時的なものを含まず、私傷病で休んだりして給料の支払いを受けなかった期間がある場合などは、その期間を計算から除外します。
労災給付を長期にわたって受ける場合、最初に算定された給付基礎日額をいつまでも基準にしていると、世間の賃金相場とずれてくることもあります。そこで、給付基礎日額は、その時代の賃金相場に見合うよう改定され、例えば極端なインフレが起こっても補償が損なわれないよう配慮されています。また、若年時に業務上災害を受けた場合、給料が低額な時点で給付基礎日額が算定されることから、各年齢別に最低限度額が設定されています。これによって通常でいう働き盛りの35歳~50歳の頃には、自身の給付基礎日額とは関係なく、ある程度の給付が受けられる仕組みになっています(逆に給料が高額な時点で給付基礎日額が算定された場合、各年齢別に最高限度額が設定され、過剰な給付を抑えています)。
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A6 一定要件を満たしていれば、社長も労災保険に加入できます。
労災保険は本来、労働者のための保険ですから、法人の代表者や個人事業主は労災保険に加入できません。会社社長が仕事中にケガを負った場合、労災保険からの保険給付はなく、健康保険からも「業務上の災害」ということで保険給付は行われません。つまり、治療費の全額を自己負担しなくてはなりません。
特別加入とは、一定の要件を満たした法人代表者や個人事業主などが、労災保険に「特別に加入する」ことをいいます。要件は以下の通りになります。
①従業員数が一定数以下であること
(金融業・保険業・不動産業・小売業→50人以下 サービス業・卸売業→100人以下 その他の業種→300人以下)
②雇用する労働者について労働保険関係が成立していること
③労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること
給付基礎日額は、所得水準に見合った適正な額を申告するという形をとっています。例えば、給付基礎日額を10,000円と申告すれば、10,000円に労災保険料率を掛けた額が保険料となり、給付も10,000円を基準に支給されます。また、法人代表者や個人事業主が特別加入する場合、代表者以外の取締役や家族従事者なども包括して加入することになります。
上記の法人代表者や個人事業主以外の特別加入制度として、個人タクシー業者や大工、左官などいわゆる一人親方の特別加入制度があります。
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